SPECIAL TALK[特別対談]

夢、あこがれを原点に、北海道から未来へ。
新たな価値を発信し、次の世代に夢を与える。

レバンガ北海道 運営会社代表折茂 武彦株式会社 インターパーク CEO舩越 裕勝

折茂 武彦 (おりも たけひこ)
(写真左)

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プロバスケットボールクラブ『レバンガ北海道』を運営する株式会社北海道バスケットボールクラブ代表取締役兼一般社団法人北海道総合スポーツクラブ理事長。埼玉栄高校から日本大学に進み、4年次にはインカレ優勝。卒業後トヨタ自動車に入社、同年全日本入りを果たし数々の国際大会を経験。2018年現在、現役最年長の選手でありクラブの代表取締役である。レバンガ北海道オフィシャルサイトへ
折茂武彦代表 と 舩越裕勝CEO
設立から8シーズン目を迎えたプロバスケットボールクラブ「レバンガ北海道」。バスケットボール界のレジェンド・折茂武彦氏が、代表を務めつつプレーヤーとしても活躍するという、独特のスタイルを生かしながら、北海道に根ざし、地域に貢献する活動を通して、国内のプロバスケットボールの頂点といえるB.LEAGUE(B1)制覇を目指しています。選手、チームのブランディングを図ることによってファン層の拡大につなげるという発想には、ITとプロスポーツという分野の違いを超えた共通点がありました。

地域をベースに、自分たちの魅力を
伝えていくということ。

  • 舩越レバンガ北海道さんにはこのたび、紙情報を自動データ化する私たちのソフトウェア「サスケ Cloud Scan」を採用いただきました。ありがとうございました。
  • 折茂手書きのファンクラブ会員申込書の管理業務を効率化させられたことにより、新たなファンサービスの企画などに時間とパワーを集中できるようになったと、スタッフから報告を受けています。ファンサービスはプロスポーツの要ですし、こちらこそ感謝申し上げます。
  • 舩越それは、うれしい限りです。今年4月に発表されたB.LEAGUE第26節終了時点でのレバンガ北海道さんの入場者数は1試合平均3,743人で、リーグ18チーム中2位。これは、すごいことだと思うのですが、動員数、あるいはファン層の拡大のため、レバンガ北海道ではどんな取り組みを行っているのでしょうか。
  • 折茂まずは競技のこと、そしてレバンガ北海道のことを知ってもらう、選手の魅力を伝えるための活動を、年間を通して実施しています。ファンのみなさんに楽しんでいただけるイベントはもちろん、さまざまな地域貢献――たとえば小学校を訪問させていただき、バスケットボールを子供たちに教えたり、給食をともにしてプロスポーツの素晴らしさをお話したり。B.LEAGUEのシーズン中でもこうした活動を積極的に行っています。
  • 舩越シーズン中もですか……。そうしたイベントや活動は、月間で何回くらい行っているのですか。
  • 折茂休日にはほぼ、何らかの動きをしていますね。その意味で、レバンガ北海道には完全オフはないと言えるかもしれません。もちろん、休養も必要ですから選手はローテーションでイベント等に参加するというスタイルですが、チームからは“選手を休ませてくれ”と叱られるほど。代表の私が(笑)。選手にも負担をかけているとは思いますが、地元の方々に知ってもらうという活動を続けてきた結果が、動員数にもつながっているのだと感じています。
  • 舩越なるほど。地域とつながり、地元の方々に選手の魅力、そしてチームの魅力を伝えることで、ブランディングを図ってきたと言えそうですね。それは北海道に本拠を置く当社としても共感できるお話ですし、そのお考えは大いにヒントになりそうです。
レバンガ北海道 運営会社代表 折茂 武彦 氏

お客さま、ファンにとって
価値のある存在となることが第一歩。

  • 舩越折茂さんが代表となってレバンガ北海道を設立されたのは2011年。失礼ながら、当初は経営的に厳しい時期があったとうかがっています。それは、何が理由だったのでしょうか?
  • 折茂自分が応援しているチームが勝てば、ファンの方々に喜んでいただけるのは当然ですし、プロチームとしては勝つために努力しなければいけない。ずっとプレーヤーとしてやってきた私には、それが自然な考え方でしたし、代表になってからも、試合に勝てばお客さんが入るし、スポンサーもつくと考えていました。そのために、選手の強化をはじめ、勝つためのチームづくりに大きな力と予算を費やしたんです。
  • 舩越それは当然のことだと感じますし、私も強いチームを観たいと思います。勝ってほしいと願って応援に行くわけですから。まったく違和感は覚えないないのですが。
  • 折茂考え方として間違いではないと思うのですが、北海道でもレバンガ北海道を知らない人がたくさんいる中で、勝てるチームだからといって単純に人が集まるわけではないんですね。それに、設立したばかりのチームなので、そもそも経営基盤も弱かった。結果、強化といってもどこか中途半端になってしまって。その反省も踏まえ、現在は選手、チームのブランディングに力を入れているんです。
  • 舩越勝てるチーム、その実力を商品力に置き換えれば、どんな企業にも当てはまる話だと感じます。特に高度に発達した情報化社会ではブランディングは重要ですね。
  • 折茂選手は試合で成績を残すことが価値につながります。けれども、プロスポーツでは“その選手は、1人で何人の観客を呼べるのか”ということも大切。いえ、大切という以上にチームとしての生命線と言っていいかもしれません。まさに選手のブランディング。とはいえ、そこに気づくまでには3年ほどかかりましたが。
  • 舩越経験のなかから、方向性を見出したというわけですね。社員一人ひとりが、会社の顔であることを意識し、行動や目標を定めていくことが大切だと私も考えていますし、それが会社のブランディングにもつながるんだという話を、私もよくスタッフにしています。
  • 折茂インターパークさんが考えるブランディグと、そのための活動についてお聞かせ願えますか。ぜひ、私たちも参考にできればと思います。
  • 舩越2017年から、「サスケ Cloud Scan」のTVCMをスタートするなど、積極的に情報発信をしていますが、ブランドというのはそれだけでできるものではなく、お客さまや、私たちが関わらせていただいた方々につくってもらうものだと思っています。ご満足いただけるサービスを提供することはもちろん、お客さまが私たちと付き合うことに価値を見出し、誇りに感じていただけることが理想。そのためには、商品の品質に加えて付随するものすべてが高いクオリティになければならないと考えています。
  • 折茂もう少し具体的に教えてください。
  • 舩越商品に関するクオリティを高め、維持するため、私たちは開発から営業活動、コンサルティングまでをすべて自社内で行っています。美しいデザイン、使いやすさを追求するUI(ユーザーインターフェイス)・UX(ユーザーエクスペリエンス)、お客さまへのご提案、アドバイス・コンサルティング、導入後の保守まで、すべてが連動することで、お客さまにとって価値につながることが重要だと思うのです。そして満足し、ファンになっていただくことで、ブランドがつくられていく。その点、レバンガ北海道さんが実践されているファンサービスの考え方と、大いに共通する気がしますね。
株式会社 インターパーク CEO 舩越 裕勝 氏

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一人ひとりが個性を発揮できる環境づくり。