SPECIAL TALK[特別対談]

夢、あこがれを原点に、北海道から未来へ。
新たな価値を発信し、次の世代に夢を与える。

レバンガ北海道 運営会社代表折茂 武彦株式会社 インターパーク CEO舩越 裕勝

経営者の視点、現場の視点をバランスさせ、
一人ひとりが個性を発揮できる環境づくり。

株式会社 インターパーク CEO 舩越 裕勝 氏
  • 舩越長年、プレーヤーとして活躍され、今も現役。同時に、レバンガ北海道を運営する(株)北海道バスケットボールクラブの代表であるといった立場は、プロスポーツ界でも珍しいと思うのですが、そもそも異なる視点を、どのようにバランスさせているのでしょうか。
  • 折茂シーズン中は試合日、練習日が決まってくるので、代表として会社にいることがあまりできません。それでも、週1回はスタッフとミーティングを行い、状況報告を受けた上で必要な決裁をし、指示を出しています。プロの選手である以上、戦力であり続けることが絶対条件だと考えているので、もちろん試合には集中します。同時に、企業としての方向性だけは、常にしっかりと社員に伝え、ブレが起こらないように意識しています。その部分ではあまり苦労は感じませんが、難しいと思ったのが選手との距離感でした。
  • 舩越チームを運営している代表が、同じチームにいるわけですからね。単なるプレーヤー同士とは違った意識になってしまう可能性も考えられます。
  • 折茂極端に言えば、“折茂に嫌われたらクビになる”と考える選手がいてもおかしくない(笑)。そこで、そうした懸念をなくすために、選手として現役である以上は、選手の評価を一切しない、ということを決めました。スカウトから年俸の決定まで、すべてGMに一任しているんです。選手もそのことは知っていますので、立場の違いによる確執といったことはありません。
  • 舩越代表として方向性は示しつつ、実際の業務は現場に任せるということは、企業ではよくあります。私も常にプレーヤーの意識で現場に近いところにいたいとは思っていますが、そうなるとスタッフにやりにくさが生まれる危険性もありますし、経営者として大きな判断ができなくなる可能性もある。だからこそ、スタッフとのコミュニケーションを大切にしつつ、一人ひとりが個性と思いを発揮して、生き生きと働ける環境づくりということに常に意識を注いでいるんです。
  • 折茂選手の個性はプロスポーツの最も大切な部分ですし、まさにブランディングの要です。
  • 舩越スポーツでは選手、企業ではスタッフが真に個性を発揮できるためには、経営者との信頼関係も大切ですね。方向を示しつつ、任せるところは思い切って任せるという。
  • 折茂代表である僕の立場も理解してくれて、その上で同じチームの仲間として支えてくれている選手には、本当に感謝しています。

挑戦する姿を見せることで、
子どもたちに、若い世代に夢を与えていきたい。

レバンガ北海道 運営会社代表 折茂 武彦 氏
  • 舩越レバンガ北海道を立ち上げ、代表として舵取りを手がけてられて7年。これからの目標などをお聞かせください。
  • 折茂勝てるチームをつくることが最終目的ではない。先ほどのブランディングの話にも通じますが、最近そんなふうに考えるようになりました。プロスポーツなので勝利を目指すことは当然ですし、ファンからもスポンサーの方々からも期待されますが、それ以前に見えるもの、聞こえることすべてが楽しくなくてはだめだと。エンターテインメント性と言っていいかも知れません。試合のゆくえだけでなく、会場に来ること自体が楽しい。そんなふうにしていきたいですし、何よりも地域の方々にバスケットボールに親しんでいただければと願っています。
  • 舩越結果はもちろんですが、まずは地域にいかに根付くか。これも、よく理解できるお話です。お客さまに価値を感じていただくことが大切という、前段の話にも通じますが、最終的には、それが企業として一番の強みになるのかも知れません。
  • 折茂地域から愛されるチーム、必要とされるチームを目指し、力をいただきながらファン層を拡大していくことが第一弾。そのうえで、ここ北海道からの全国制覇、B.LEAGUE(B1)での優勝に向けて邁進していきたいと思っています。
  • 舩越私たちも、多くの企業に応援されるような存在でありたいという想いを持ってやってきました。そして、そのうえで地域や国内のスタンダードを超える、世界基準の技術をもって、世界へとサービスを広げていきたいと考えているんです。それは、私たちを支持してくれる企業にとってもメリットがあるはずですからね。ところで先ほど、小学校に出向いてバスケットボールを教えたり、魅力を伝えているという話がありました。レバンガ北海道バスケットボールアカデミーも開講するなど、子どもたちの育成に力を入れていますね。
  • 折茂子どもたちには可能性しかない、と私は考えています。バスケットボール人口は、実は野球やサッカー人口に匹敵するんです。特に、雪国であるためにインドアスポーツが盛んな北海道では、子どもたちのバスケットボールのレベルも非常に高い。そして、2年前にプロリーグであるB.LEAGUEができたことで、将来、職業としてバスケットボールを続けられる可能性が広がりました。私が実業団にいた頃に比べると、とても良い環境になってきています。
  • 舩越そのうえで地元に、身近なところにプロチームがあるということは、子どもたちにとっても大きな刺激になるでしょうし、何よりも夢が広がっていきますよね。
  • 折茂まずは、普及活動をとおしてバスケットボール人口をさらに増やしていく。そして、子どもたちの育成、強化に取り組んでいけたらと考えています。そのためにも、私たちレバンガ北海道は、B.LEAGUEという舞台でしっかり戦っていかなければならない。夢を与えることが私たちの職業だと思いますし、夢を与えることで北海道を元気にしていけたらと。これは、レバンガ北海道が掲げている理念でもあるんです。
  • 舩越子どもたち、若い人たちに夢や希望を与えることが、これからの企業にとって何よりも大切なことなのかも知れません。私たちも、ビジネスや社会を変える可能性のあるすぐれたサービスをつくり出し、それを北海道から全国へ、そして世界へ発信するという挑戦を若い世代に見せ、それが不可能ではないことを示すことで、夢を与えていきたいと思っています。そのために北海道での新卒採用を積極的に進め、社内においてマインドを含めた人材育成を図っています。時代に敏感な世代が夢を持つことこそが、未来につながる入り口ですから。
  • 折茂バスケットボールは、国内ではまだマイナースポーツであるにも関わらず、北海道ではマスコミの方々がプロ選手としてとても大きく扱ってくれました。地元のチームということで盛り立ててくれる。その熱気に応えながら、北海道から発信していくことは、レバンガ北海道にとっても自然だし、意味のあることだと思うんです。
  • 舩越同感です。最後に、若い世代へのメッセージをお願いします。
  • 折茂夢が叶うかどうかは、やるか・やらないか、続けるか・続けないかが分かれ目になると思います。とにかくやってみる、続けてみる。結果として思い描いていた夢は叶わないかも知れませんが、一歩を踏み出さなければ絶対に叶わない。そんな意識をもって、まずはやりたいことに取り組んでみてほしいですね。
  • 舩越若い方だけでなく、企業活動を行う私たちも心しておきたい言葉です。繊細さ緻密さと同時に、既存の枠組みや技術を突破していく思いと行動が何よりも大切ですね。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。
  • 折茂こちらこそ、ありがとうございました。
レバンガ北海道のホームアリーナである、「北海道立総合体育センター北海きたえーる」のロッカールームで行われた今回の対談。終始和やかな雰囲気のなか、経営的な視点から地域への思いまで、話は多方面に広がっていました。